0章 融ける校舎
導かれるまま進んだ先には見覚えのある光景が開がっていた。県立星辰学園高等学校。通常であれば学徒で賑わう筈の校舎は、人の気配すらしない融けたモニュメントと化していた
1章 沈む繁華街
学園を一歩抜けると、辺りは突然に繁華街の光景へと変化した。人の姿はなく、シャッターの降りた建物は泥の様な大地に沈んでいる…
2章 眩く廃街
影の深い路地を進むと眩くネオン街が見えてきた。しかし煌めくと光とは裏腹に、全ての建物は崩落し火に爛れ、その機能を有していない
3章 堕落した教会
廃街の奥には美しい教会があった。だがその内部は現実世界の堕落を反映したように、暗く淀んでいる。決して賛美歌の響くことのない、異世界の教会
4章 爛れたドーム
教会を抜けると眼前に焼け爛れたドームが現れた。鉄骨は剥き出しになり傷跡は生々しく、未だに燻った火が残っている。炎が邪悪な気配に揺らめいた
5章 捻れた電波塔
ドームの階段を昇り続け扉を開くと、そこは捻れた電波塔の頂上だった。前方には空が、後方には地上が見える。ここでは重力までが捻れているようだ
6章 陰るビル群
捻れた重力から解放されて地上に降り立つ。そこは生命を感じないオフィス街だった。月光に照らされた高層ビルが、水平線まで墓標のように立ち並ぶ…
7章 逆巻く時計塔
うっすらと見えてきたものは、時計塔だった。歪んだ時計盤を眺めていると突然針がグルリと廻り、一行をあざ笑うように鐘が鳴った
8章 堕ちる地下鉄道
無人の地下鉄駅に動く車両の影はない。だが時折軋むような金属音だけが鳴り響いている。線路は更なる地下へと潜り、一寸先すら見えぬ闇へと深まっていく
9章 脈動する地下神殿
闇が払われ、濡れた床に巨大な柱が立ち並ぶ広大な空間が現れた。都市の治水を担う【地下神殿】しかしここにも邪悪な気配は存在していた
10章 腐敗する議事堂
地上に出た一行の前に、この国の政治を司る建造物が神殿の様にそびえ立っていた。しかし荘厳な姿に反し、辺りは臭気で満ちている
11章 引き裂かれた病院
いつの間にか室内の様子が一変したことに気付く。消毒薬の匂い…全てのものは断裂し破壊されていたが、そこは紛れもなく病院だった
12章 蠢く高速道路
人の気配のない高速道路を、水銀塔が冷たく照らしている。走る車の姿は無い。しかしごうごうと響く轟音は鳴り続けている
13章 咽び泣くトンネル
高速道路は次第に荒れ果てて行く。…闇の中にうっすらと輪郭を現したのはトンネルだった。流れる空気はひんやりと冷たく、風の音は何者かの泣き声のようにも聞こえた
14章 狂気の下水道
崩落したトンネルは下水道に繋がっていた。中には羽虫が飛び交い、すさまじい臭気を放つ汚水が流れている。水の中にときどき光が見えるのは、宝石なのだろうか?
15章 破砕した豪華客船
下水道を抜けた一行は赤黒い海に辿り着いた。海岸には破砕した豪華客船が打ち上げられている。船首に飾られた女神像が、半分しかない顔で微笑んでいる
16章 汚濁する遊園地
港の向こうに見えた大きな観覧車…無人の遊園地はしかし不気味に駆動し続けていた。雨に打たれたメリーゴーランドで、黒い涙を流す馬が回り続けている
17章 欺瞞の放送局
「ON AIR」と書かれた看板が不気味に点滅している。スタジオの扉を開けてみると、首の取れた人形が山のように積まれていた。撮影セットからは煙が上がっている。この場所が炎に包まれるのは時間の問題だろう
18章 不浄の廃工場
爆発の跡が生々しい廃工場の中に入ると、腹に響くような轟音がした。どうやら地盤も緩んでいるようだ。全壊する前に、はやくここから抜け出さねば
19章 崩壊する堰堤
古代エジプトの民もダムを作ったという。どれほどの犠牲の上にそれが作られたのか…。目の前に現れたダムは、まるで号泣しているかのように崩れ落ちていた
20章 くらやみの神域
赤い鳥居をくぐると、小さな社があった。屋根が腐り、雑草が生い茂っている。灯篭の陰から、くすくす…と笑う声がきこえたような気がした
21章 罪負う研究所
いびつな形の研究所に入ってみると、内部までが螺旋状に渦巻いていた。廊下には割れたガラスやピンセットなどが散乱していて、歩くのが難しいほどだ
22章 囁く人工林
整然と並ぶ木々の中、巨大な破壊の跡が奥へ奥へと続いていた。星喰い『戮』を追うため、一同は歩みを早める…。
23章 非業の地下室
『戮』が去った跡、そこにはうっすらと土に透けた鉄扉があった。隠された地下へと続く道。扉を開くと、生温かい風が頬を撫でた…
24章 星の廃棄所
半球の空間から伸びる螺旋階段を昇って行く。その合間には積荷が重なるだけの無機質な階が続いていた。だが眼を持つ物には見えていた。砕かれた命の残骸が、荷の中で明滅しているのを…